ペイチェック 消された記憶

ペイチェック 消された記憶 [DVD]

極秘プロジェクトに参加し、その間の記憶を消して多額の報酬を得ていたコンピューター・エンジニアのマイケル。だが約100億円の報酬を得られるはずの大仕事を終えた彼に残されたのは、意味不明なガラクタだけ。しかもガラクタを送りつけたのは自分自身で、さらに何者かに彼は命を狙われていた。一体なぜ? はたして記憶を失った間に、どんな出来事が彼の身に起きたのだろうか!?

監督:ジョン・ウー
出演:ベン・アフレック アーロン・エッカート ユマ・サーマン
公開:2003
★★★★☆
同じディック作品原作とは思えない、ある種の爽快感すら覚えるSF活劇。最後に悪は死す。
”消された過去”という副題からは、失われた3年間に一体何があったのかをめぐる物語を想像するかもしれません。けれども、その予想は早い段階で裏切られます。物語が進むうちに彼の大仕事が何であったかはあっさり予想できるからです。
重要なのは、過去に何があったかではなく、これから何が起きるのかということです。次々に遅いくる脅威と、迫りくる結末を一体どうやって回避するのか。過去ではなく未来がこの物語にとってのキーワードです。
なぜか過去の自分が送りつけて来た封筒、それに入っていた数々の用途不明なガラクタによって命の危険を回避するという発想に脱帽です。主人公よろしく「何につかうんだこれ?」と疑問に思ってしまうようなガラクタが、ある時ある場所で彼を助けるヒミツ道具に変身する展開は絶妙な気持ち良さを与えてくれます。なんでこの道具で助かることが分かったのかであるとか、どうして道具の使い方が分かったのかなんて細かいことは気にしなくていいのです。ディック作品特有の重苦しさなんてかけらもなく、気軽に楽しめる映画だと思います。

関係のない話...
物語一番最初に、主人公マイケルが新たなPCを開発しお披露目するシーン。
隣にあるのはおそらくその時代の最先端を行くPC。マイケルは見た目は変わらないPCを隣に並べます。
「これじゃ○○社と変わらないじゃないか」と幹部。
「全くおなじではありません。前のテクノロジーを改良しました。」とマイケル。
「いかにもモニターという感じが嫌で・・・とっぱらいました。」
そういってマイケルが、ただ背景を移していただけのモニターを片付けると、そこにはコンピュータの情報(ここではオペレーティングをしてくれる仮想の女性)が立体映像として残っていたのです。驚く幹部たち。この演出がまるでジョブズの基調講演を聞いているようで思わず笑ってしまいました。