INVASION

インベージョン 特別版 [DVD]
監督:オリバー・ヒルシュビーゲル
出演:ニコール・キッドマン ダニエル・クレイグ
公開:2007
★★★☆☆

地球外からやってきた謎の生命体。それは眠っている間に人間の習性を変異させ、次々と魂のないレプリカントを生み出していく。ワシントンD.C.の精神科医キャロル・べネル(二コール・キッドマン)と同僚のベン・ドリスコル(ダニエル・クレイグ)は、原因をいち早く究明しウイルス拡大の阻止に乗り出す。生き残る術はただ一つ、決して眠らないこと。誰一人信用できない悪夢のような状況の中、二人はウイルスの侵攻を食い止めることができるのだろうか!?

invasion:侵入、侵略、襲来
感染モノということで、エイリアンと戦うのとはまた違った恐怖が味わえました。違和感を覚える微妙な変化にいつのまにか囲まれている演出はゼイリブを少し思い出させます。態度以外は見た目が変わらないのが逆に恐怖を煽りますね。
前半は売り文句にもある「ある朝突然、あなたの家族が、別人になっている。」の通り、周囲の人が次々に豹変していき、じわりじわりと迫ってくる恐怖が心地よくて、ホラーサスペンスとして観ると面白いと思います。
ただ後半は迫りくる感染者たちが、大勢で全力疾走してくるので、まるでちょっとキレイなバイオハザードでも観ているかのようでした。感染のタネが明らかになってからは勢いで終わりに向った感じですかね。
全ての人が感染し乗り移られる事で、個性が失われ、争いのない真の平和な世界が出来上がる。こんなすばらしいことは他にないじゃないか。だから私たちを受け入れろ、と感染者たちが訴えてくるところが印象的です。議論好きのロシア人の言葉を借りれば、ぶつかり合うのもまた人間の本性で、人間が人間であることの証左なわけです。何も起きないから善くも悪くもならない世界よりも、何か起こして悪かったら善い方向へ改善しようとする世界の方が私も好きですね。もっともあんな体験をした主人公がどう思うようになったかは分かりません。物語の最後、全てが解決した後、「バグダッドでまた83人も死者がでた。いつまで続くんだ・・・」と嘆く夫に無言で応えた主人公は、この争いの絶えない人間らしい世界をどう思ってるのでしょうか・・・。