夜明けのロボット 上下


著者:アイザック・アシモフ
出版社:早川文庫SF
発売:1983年
★★★★★

かつて銀河系へ進出した地球人の末裔が宇宙国家連合を形成し宇宙をわがものとしている現在、地球は孤立し、宇宙進出もままならない。その地球に、宇宙国家連合の指導者格である惑星オーロラが助けを求めてきた。人間そっくりのヒューマンフォーム・ロボットの破壊事件がおこり、その捜査を刑事ベイリに依頼してきたのだ。ただ一人の容疑者はそのロボットの生みの親ファストルフ博士。ベイリはさっそくオーロラへ赴くが。

アシモフの描くロボットと人間の世界はまだまだ続きますが、とりあえず地球人イライジャ・ベイリと惑星オーロラ製のヒューマンロボットR・ダニール・オリヴァーのコンビはこれで見納めです。鋼鉄都市で初めて出会ったころの二人からは考えられないほど親密な関係になりましたね。ベイリがダニールのことをRではなくフレンドと呼ぶようになった変化もそう考えると嬉しいものです。スペーサーと比べて寿命が私たちと大差ないベイリはシリーズを通して今作では随分と年をとってしまいました(衰えたからだを嘆くような描写もあったような...)が、推理のキレはまったく衰えてません。ロボットと人間が絡んだミステリーをフレンドダニールと共に究明していく展開は相変わらず心地よいですね。といっても今回ダニールの活躍があまりなかった気がしますが・・・。代わりに活躍?したのがもう一人のロボット、一人と言ってもヒューマノイドタイプじゃありませんが、R・ジスカルドです。こちらも最初はベイリにR呼ばわりされてさして主要なキャストではないのかな、と思っていたら予想以上の大活躍!最終的にはベイリもフレンド・ジスカルドと呼ぶほどに至りますが、それがなぜかは読んでのお楽しみ。いろいろと伏線が張ってありますが、我はロボットあたりを読んでおくといいかも。本当に最後の最後でジスカルドがこの作品で、そして続くファウンデーションシリーズにおいていかに重要な役割をするのかが分かります。
それにしてもやたら性表現が多かったですね。惑星オーロラではセックスが比較的オープンなものだということもありますが、はだかの太陽のヒロイン、グレディアもベイリ同様外の世界を知ることで成長し、以前とは全く違う考えをするようになり、ベイリとはいくとこまでいっちゃいます^^;結局息子の言っていたことはあながち間違いじゃなかったということですね。
しばらくアシモフ作品は離れて他の作家のものを読もうかしら・・・続きはまたそのうち読もう。