ランボー怒りのアフガン

ランボー3 怒りのアフガン『ランボー最後の戦場』劇場公開記念スペシャル・プライス版(初回限定生産) [DVD]
監督:ピーター・マクドナルド
主演:シルベスター・スタローン
公開:1988
★★★☆☆

タイのバンコクで心の傷を癒すかのように静かに暮らしていたランボーの前に元上官のトラウトマン大佐が現れる。アメリカ情報局の極秘任務に協力し、アフガニスタンに潜入して欲しいと言うのだ。依頼を断ったランボーだったが、トラウトマン大佐がソ連兵に拉致されたことを知ると、救出のため、15万人のソ連軍最強師団がいるアフガンの戦場へと向かった。

ドーン!ドカーン!チュドーン!そんな映画です。ランボーといえばゲリラ戦の達人ということで擬態やトラップを活かしたサイレントキルが結構楽しみでもあったのですが、怒りのアフガンではやたら正面衝突が多かったと思います。ド派手なアクション映画といったところでしょうか。余りにも過激な戦いの末多くの人が死にすぎて「最も暴力的な映画」としてギネスにも載ったそうです。サイレントキルよりも過激なアクションが見たいというならこれほど最高に熱い映画はないでしょう。
前作がラブロマンス風味だったのに対して、今回のテーマは友情です。トラウトマン大佐との友情、アフガン戦士たちとの友情、そしてその少年との友情。一作目でランボーは戦うことしかできず苦悩しながら戦っていました。二作目では戦場こそ自分の生きる場所だと思い戦いに行きましたがそこにはやはり悲劇しかありませんでした。三作目の序盤で寺院に暮らし平穏な日々を送っているランボーは、もう戦いたくないと、自分の戦争は終わったとついに言います。そうしてやっと平和な生き方を得たかのように思えるランボーに、トラウトマン大佐の危機が知らされます。一度めの来訪で大佐にもう二度と戦わないと言ったランボーですが、大佐の危機を知ると直ぐに救出に向かう決意を固めます。この決意の早さに彼と大佐との友情の厚さをみることができます。ランボーは結局戦地に赴くことになってしまいましたが、その意味するところは大きく変わりました。大佐は言います。「ランボーは生まれ持っての戦士」だと。それは物語序盤で、平穏な暮らしを得ながらも、その中で闘技場?という争いの場に身を放りなげていたことからも分かります。怒りの脱出でランボーが悟ったことは間違いではないのです。彼は戦うことでしか生を得られないのかもしれません。問題は何のために戦うか。何を守るために戦うか。目的のない戦いをしてはただの戦闘機械です。今作でランボーが友情のためにソビエト軍と戦ったことで、あるいはその答えを得ることが出来たのかもしれません。映画「ランボー」はアクションシーンこそやはり見物となりますが、一作目で主題となっているベトナム戦争を戦った兵士の苦悩、戦う者の精神のあり方は今作に至るまで一貫して提示されているのではないでしょうか。ド派手なアクション映画であるとともに、ランボーの成長を見守る映画でもあるのです。
駄目だし
少年が戦場についてきたのは正直イラっとしました。あれをするなら少しは活躍させるか、あるいはもっと少年が戦うべき理由を掘り下げて欲しかったです。
最後に良いところというか気に入ったセリフを一つ。ソビエト軍の捕虜になったトラウトマン大佐が、アフガン人を虐げる彼らに対して言い放ったセリフです。
「愛国心をもったゲリラがいる国は征服できない。我々はそれをベトナムで体験した」
んぅ・・・やっぱり大佐はカッコいいな。4作目に出演しないことが本当に悔やまれますね。御年77歳ですい臓癌のためこの世を去ったリチャード・クレンナ氏のご冥福を心からお祈りします。