fate/zero 「王たちの狂宴」「散りゆく者たち」


著者:虚淵玄
出版社:TYPE-MOON BOOKS
発売日:2007
★★★★★
あーやばいやばい面白すぎる。fate本編よりも面白いんじゃないだろうか、と思ってしまうほど面白いです。もっとのんびり読み進めるつもりだったのに2巻3巻と続けざまに読み終えてしまいました。
二冊分の展開を一気に飲み干したせいか、いまだに頭の中で整理できていないかんじですが足りない頭で少しずつ整理してみます。今回はサーヴァント対サーヴァント、マスター対マスターの戦いが数多く見られました。オープニング戦が互いに力を見せつつも牽制し合う様だったのに対して、こちらではもうフルスロットルの激戦です。力で侵略する者。知略に賭ける者。プライドを一義とする者。各々が自分の信念に誓って全身全霊の戦いを繰り広げ、そして信念のもとに散っていく。そう、この二冊を読み終えるまでにかなりの登場人物が舞台の檀上から退場してしまいました。残ったチームは4組(+1?)。これからはますます熾烈を極める戦いとなることでしょう。zeroがfateの正統な外伝にあたるいじょう虚淵玄氏の予言に嘘があるはずもなく、最後には必ず悲劇が待ち受けているはずですが、英雄たちの戦いを「目」にしてアドレナリンが大量に駆け巡る私の脳が私に「最終巻を早く読め」と囁くのです。
ここまで読み進めて、私の中で一番好きな登場人物はどうやらウェイバーのサーヴァント・イスカンダルになりそうだといことが分かりました。必然的にお気に入りのシーンも限られてきますが、特に良かったのは王たちが集う酒宴のところですかね。少年が抱くような夢をヒトとして最高峰の熱意と共に語るイスカンダルは「カッコいい」としか言いようがありません。男が男をカッコいいと賛美することがどれほど特別な意味を持つか!私も是非イスカンダルの軍門に下りたいものです。どう考えても道中の砂漠あたりで野垂れ死にしそうですが^^;酒宴の後の「ドキッ! 闇夜に仮面!! アサシンだらけで大ピンチ! 〜アイリのポロリもあるよ(嘘)〜」も最高でしたね。まんまと時臣の策に嵌って第二の宝具「王の軍勢//アイオニオン・ヘタイロイ」を露見してしまったイスカンダル。喜んだのは時臣だけではなく、あとがきにならって私までもがあまりの興奮にウェイバーよろしくパンツを汚しそうになるところでした。まさに彼の生き方の具象化。いや、ほんとかっこよいです。そういえばfateと違ってzeroだと雁夜以外にはあまり魔力の備蓄で問題になることがありませんね。チャリオットだけならまだしも宝具として固有結界まで使うイスカンダルは物凄い燃費が悪そうな気がするのですが、ウェイバーちゃんは大丈夫なんでしょうかね?そうそう、ウェイバーといえば彼にも徐々に変化が現れてきました。個人的にはfateにおける士朗のポジションにウェイバーがいる気がして、まだまだ未完成の彼の成長も楽しみの一つです。
勢いがありすぎて見落としているのか、ほとんど不満に思うような点はないです。あえて言うならソラウと龍之介についてですかね。前者は結局のところ色欲におぼれケイネスに謀反を起こしただけで終わってしまい、物語上の役割としてはディルムッドの悲劇の再現の具でしかなく、彼女自身の深さはとうとう見ることがかないませんでした。今となっては冒頭の「道具として育てられてきた悲劇の女性」というキャラ解説が皮肉にも思えます。もう一人、狂気のアーティスト龍之介。彼もあっけなく死んでしまいましたね。もっとこう、fateの葛木宗一郎みたいにキャスターの魔術で強化されてドンパチ暴れるみたいな展開を期待していたのですが、どうもキャスターも本来の魔術師ではないみたいですし、無理な話か・・・残念。
全体的にfateより楽しんでいる気がします。なんででしょう、キャラがみんな濃いから?バトルが激しすぎるから?なんにせよ虚淵氏の筆力には感嘆です。続く4巻が楽しみだー。