fate/zero 「煉獄の炎」


著者:虚淵玄
出版社:TYPE-MOON BOOKS
発売日:2007
★★★★★

熾烈を極める最終決戦、マスターとサーヴァントが凄絶に命を散らしていく最中、ついに業火とともに降臨する聖杯。過ぎ去りし日々の物語は、今、語り継がれた惨劇の真相(ゼロ)へと辿り着く――
虚淵玄の苛烈なる筆力が描破する『Fate/stay night』外伝
壮絶なる戦いの果てに―――――堂々の完結!

良かった・・・zeroを買っておいたのは間違いなんかじゃなかった。ついに完結、fate/zeroの最終章。サウンドドラマ発売を前にして、「最後は変更してもらいたい」という声をよく聞きますが、私はそうは思いません。確かにどうしようもないほどのBADENDです。ハリウッドでやったらボロクソ叩かれているレベルです。けれどもこれでいいんだと、これはfateに繋がりfateによって救われる物語、だからこそのzeroなんだとそう思うのです。それに何も全てが悲劇的だったわけではありません。エピローグに描かれた士朗と切嗣との出会いはもちろんのこと、ウェイバーの旅立ちも希望の萌芽といえるでしょう。とりわけウェイバーは最終巻で大きな成長を見せてくれました。切嗣と綺礼の最終決戦に燃え、雁夜の救われなさに同情し、セイバーが膝を折るシーンでは共に慟哭しましたが、fate/zeroの中で私が活目して見届けなければならなかったのはやはりイスカンダルとウェイバーの勇壮だと思うのです。あのシーンに私の感動は尽きます。
ついに自己の矮小さを認め、令呪、すなわちマスターとしての権利を放棄したウェイバーをそれでも決戦の場へ連れて行こうとするイスカンダル。
「令呪ないんだぞ!マスター辞めたんだぞ!何でまだボクを連れていく!?ボクは―」
「マスターじゃないにせよ、余の朋友であることに違いはあるまい」
ウェイバーの心を支えてきた強固な意地が瓦解するとともに私の涙腺も決壊。小説を読んでじんわりと泣くことはあっても、ここまで熱い涙を流したのは記憶をたどる限りはじめてかもしれません。ギルとの戦いの末、王の誇りを残してイスカンダルは冬木から姿を消してしまいますが、生き残ったウェイバーは臣として大きく脱皮し成長したように思えます。今後ウェイバーが魔術師としてどのような道を進むのかはわかりません。個人的には聖杯やそれに準ずる何かの力によってイスカンダルを現世に受肉させ世界征服に挑むといった展開を妄想してしまいます・・・手始めにブッ○ュから・・・フフ・・・こうなるとちょっと豪傑と爽快さに欠けますね^^;まぁ征服王イスカンダルがウェイバーに残した最高の褒美は必ずや彼を良き方向へと導くことでしょう。
それにしてもギル様は強すぎるなぁ。結果的には完封勝利ですからね、ギルVSイスカンダル戦は。結局は相性の問題で、イスカンダルはギルとの相性がよくなかったのでしょう。ギル様に勝つには乖離剣を使わせずに対1の近距離戦で圧倒しないとダメでしょう。ランスロットのような相手にはギル様も苦戦していました。逆にランスロットがもしイスカンダルと戦ったら固有結界に引き込まれてリンチされるでしょうし、サーヴァントの特性によって勝敗が左右されるというのも地味にゲームっぽくてfateの面白さの一つでもありますね。
あーなんだかfateまたやりたくなってきたなー。

Fate/Zero Vol.4 -煉獄の炎- (書籍)

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